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【トップ対談】with AI / 変革を進める組織が始めていること

組織の複雑性、人材不足、そして変化の激しさ。

今、企業の競争力は「AIを活かせるかどうか」で大きく変わり始めています。

しかし実際には、“AIを導入しても行動が変わらない”、“現場がついてこない”という壁に多くの組織が直面しています。

「AI面接」「AIロープレ」で採用から活躍支援まで、人事課題をAIで解決する株式会社PeopleXの代表 橘大地と、創業以来60年以上にわたって現場での行動変革と組織文化に着目した組織変革コンサルティングの株式会社ジェックの代表 松井達則が、組織変革の現場で見えてきた課題と突破口を語り、AIを変革エンジンへ転換する方法を提示します!




変革を進める組織が始めていること

松井:皆さん、こんにちは。株式会社ジェックの松井です。本日は「変革を進める組織が始めていること」をテーマに、PeopleXの橘さんをお迎えしています。

松井:まず、ジェックについて簡単にご紹介します。ジェックは1964年創業で、人材開発と組織変革を支援してきました。新入社員から幹部まで幅広い研修を提供し、特に営業やサービスなど、人と人が接する場面での人材育成を得意としています。現在は組織変革のコンサルティングにも力を入れています。

橘 :PeopleX代表の橘です。私は弁護士としてキャリアをスタートし、前職では弁護士ドットコムの取締役として電子契約サービス「クラウドサイン」の立ち上げに携わりました。組織経営の経験を通じて、AIで働き方や組織をもっと良くできると考え、現在はAI面接やAIロープレなど、人材採用・育成を支援するサービスを提供しています。

松井:今日は、組織変革とAIに焦点を当ててお話を伺います。橘さんにとって「強い組織」とは、どのような組織でしょうか。

橘 :一人ひとりが主体性を持ち、生き生きと働いている組織だと思います。人数が増えるほど、自分が組織の一部品のように感じてしまいがちです。だからこそ、「自分が認められている」「事業に関われている」「成長している」と実感できることが重要です。

松井:一方、テレワークの広がりなどで、上司と部下のコミュニケーションが減ったという声もあります。

橘 :そうですね。以前は飲み会なども含め、人間関係が属人的なコミュニケーションに支えられていました。今は若手が上司との関わりを求める一方、管理職はハラスメントへの配慮や業務の多忙さから、十分に部下を見きれないこともあります。コミュニケーションの必要性は高いのに、現場では難しくなっているのが実情だと思います。

松井:そのマネジメントを助けるものとしてAIが注目されています。ただ、ChatGPTやCopilotを導入していても、使いこなせる組織とそうでない組織があります。この差はどこにあるのでしょう。

橘 :AIを「ChatGPTに相談すること」だけで捉えないことです。今はAI面接、営業練習、資料作成など、用途に特化したAI製品が増えています。人事ならAI面接、営業ならAIロープレというように、自社の業務に合ったAIを選び、具体的な場面で使うことが浸透のポイントです。

松井:生成AIを操作できるだけでなく、さまざまなAIプロダクトを理解し、業務に合わせて使い分けられる人材がいる組織ほど、AIを活用しやすいということですね。

橘 :そう思います。まずは社内の使いやすい場面から、AIと実際に対話してみることをおすすめします。AIロープレやAI面談で「AIと話す」経験を重ねると、AIへの距離が縮まり、リテラシーも上がっていきます。



With AI ~組織の課題を見える化する~

松井:ジェックでも「With AI」という考え方で、組織変革のコンサルティングにAIを活用していきたいと考えています。ここからは、PeopleXさんと一緒に取り組んでいる内容も踏まえてお話しします。組織課題の把握にはサーベイなどを使いますが、数値だけでは見えにくい課題もあります。AIを使うと、そこを補うことはできますか。

① AI 面談で見える化できること

橘 :当社では「AI面談」を提供していて、自社でも入社1カ月、3カ月、6カ月といった節目で活用しています。本来は上司が1on1を行うのが理想ですが、忙しくて実施されなかったり、進捗確認だけで終わったりすることがあります。

橘 :AI面談では、社員がバーチャルヒューマンと30分ほど話し、その内容から悩みやつまずきを把握できます。たとえば業務上の困りごとや制度への不明点などが見えれば、人事やマネージャーが具体的に支援できます。アラートが出た人には、人が改めて1on1を行う。AIが人の代わりになるというより、人が必要な支援をしやすくする仕組みです。

②形骸化していた 1on1 を変える

松井:1on1は継続が難しく、数カ月で止まってしまうケースも少なくありません。一方、AIとの面談内容が経営側に見られるかもしれないと思うと、本音を話しにくくならないでしょうか。

橘 :そこは閲覧権限の設計が重要です。上司には見せず、人事の限られた担当者だけが閲覧できるようにすることもできます。むしろ、悩みの中には上司本人への不満も多く、上司との1on1では言えないことをAIには話せる場合があります。AIとの対話に慣れると、率直に話してくれる人は増えていきます。

松井:人には言いにくい本音を、AIだからこそ話せるケースがあるわけですね。

③「忙しくてできない」をサポートする

松井:ジェックの新人育成プログラムでも、OJTリーダーに1on1をお願いしています。ただ、新人を支える層は現場の中心でもあり、とても忙しい。AI面談は、その負担軽減にもなりそうです。

橘 :そうですね。AIを使うと「人のぬくもりがなくなる」と言われますが、「AIか人か」ではなく、「人とAIをどう組み合わせるか」が重要です。当社でも、AIで課題を可視化したことで、むしろ人による1on1が増えました。30分かけて何を話すか探すのではなく、AIで見えた課題を人が5分、10分でピンポイントに支援する。役割分担をすることで、人の関わりをより有効にできます。

④ AI 面談だからこそ見えてくるもの

松井:人による1on1には、どうしても上司やOJTリーダーの主観が入ります。AI面談では会話が文字化され、評価や傾向も可視化できます。

橘 :経営者から見ると、現場の上司と部下だけで行われる1on1は、会社の課題が人事や経営に届きにくいという問題があります。サーベイで数値が出ても、具体的に何をすればよいか分かりにくいこともある。AI面談では、一人ひとりの具体的な困りごとが見えるので、打ち手につなげやすいのが特徴です。

松井:個人だけでなく、部署やチーム単位の特徴も見られますか。

橘 :可能です。複数の社員の面談結果から、チームごとの特徴や課題を客観的に捉えることができます。既存の組織診断と組み合わせれば、より立体的に組織を見ることができると思います。

⑤マネジメントのメタ認知ツールとして

松井:マネージャー自身のマネジメント力を客観的に把握することもできますか。

橘 :AI面接の仕組みは、採用だけでなく昇格面接や管理職の定期的な能力確認にも使われています。自分では気づきにくい強みや改善点をAIが評価してくれるため、メタ認知のツールになります。上の立場になるほど率直なフィードバックを受ける機会が減るので、AIから具体的な改善点が返ってくるのは大きいと思います。

松井:従来のサーベイとAIを組み合わせることで、組織やマネジメントの状態がより浮き彫りになりそうですね。



組織の価値を向上する「共創とシナジー」

松井:次は、見えてきた課題に手を打ち、組織の価値を高めていく話です。ジェックでは「お役立ち共創コンサルティング」として、メンバー同士が一緒に考え、アイデアを生み出すことを重視しています。

① AI の登場で、人がアイディアを出す「共創」はどうなる?

松井:生成AIを使えば、以前は何人もで議論して生み出していたアイデアが短時間で出てきます。人同士の「共創」は、これからどうなるのでしょうか。

橘 :人とAIが共に考える状態が大切だと思います。最近は、役員会にAIを一人の参加者のように入れる企業も出てきています。AIにデザイナーやエンジニアなどの視点を持たせ、人間だけでは抜けてしまう観点を出してもらう。人同士の共創にAIとの共創を加えることで、意思決定の質を高められます。

松井:AIを「使う道具」ではなく、もう一人の参加者として扱うイメージですね。

② AI 活用だけではなく、AI と共存する

橘 :そうです。当社ではAIに名前を付け、組織図にも載せています。営業や人事の一員として、複数の面接を同時に行うなど、人間にはできない働き方をしています。これからは「AIを活用する」だけでなく、AIと共存し、役割を分担する組織が増えていくと思います。

松井:ジェックのコンサルティングでも、ディスカッション中に生成AIを使い、議論した内容をもう一度AIに問い直すなどの取り組みを始めています。今後は生成AIだけでなく、用途別のプロダクトも組み合わせていく必要がありますね。

③対お客様での AI 活用

松井:顧客に提供する価値を高める場面では、どのようにAIを活用していますか。

橘 :当社では、セミナーのバナー、広告コピー、営業資料、製品名のアイデアなど、マーケティング制作の多くでAIを使っています。まずAIで大部分を作り、最後にデザイナーが仕上げるという流れです。

松井:以前は人が時間をかけて作っていた提案書やパンフレットも、AIを活用すれば制作時間を短縮しながら、顧客に出すものの質を高められます。

橘 :資料作成などに特化したAIも増えています。ChatGPTだけに頼るのではなく、用途別のAIを使いこなせるかどうかが、組織の生産性を左右していくと思います。

④営業の商談前に AI ロープレで事前チェック

松井:営業であれば、商談前にAIロープレで練習することもできますね。

橘 :当社では、訪問先や提案内容を入力し、その顧客に近い設定のAIを相手に5分ほど練習しています。競合との違いや業界特有の質問をされ、それに対する答え方までフィードバックしてもらえます。スマートフォンで移動中にもできるので、商談前の短時間で実践的な準備ができます。

松井:性格や難易度を変えて、実際の商談より厳しい相手で練習することもできる。複数のシミュレーションをしておけば、本番での対応力も上がりそうです。

⑤ AI 面接の価値は「応募数の増加」

松井:採用難の中で、良い人材に来てもらうことも組織価値を高める大きなテーマです。AI面接は、採用のどの場面で効果を発揮しますか。

橘 :AI面接の価値は、選考効率だけではありません。候補者が24時間365日、自分の都合のよい時間に受けられることで、応募のハードルを下げられます。採用サイトを見ても、履歴書を準備して応募するまでには心理的な負担があります。最初の接点を、ワンクリックで短時間AIと話すだけにすれば、興味を持った人が応募しやすくなります。

橘 :企業側も、書類だけでは分からない人柄や熱意を早い段階から知ることができます。その後の人による面接では、AIが聞いた自己紹介や転職理由を繰り返すのではなく、より本質的な対話や魅力付けに時間を使える。AIと人の役割分担によって、候補者体験そのものを良くできます。

松井:「AIに強い会社」という印象も含め、採用への姿勢自体が企業価値につながるわけですね。

⑥継続のポイントは人&AI の伴走支援

松井:ジェックは、人のマインドや「行動理論」を変え、実際の行動変容につなげることを強みにしています。研修やコーチングにAIを組み合わせれば、その変化をさらに定着させられるのではないでしょうか。

橘 :AIは24時間使え、反復・継続が得意です。ただし、AIだけでは続かないこともあります。最初に人が研修で方向性をつくり、その後の反復練習や振り返りをAIで行う。人が伴走し、AIが日常の継続を支える組み合わせが効果的だと思います。

松井:研修でマインドや考え方を学び、現場に戻ってからAI面談やAIロープレを使って振り返る。そこでメタ認知を促すという使い方ができそうです。

橘 :AI時代だからこそ、人による研修の良さも際立ちます。両方を組み合わせることが大事です。



強い組織をつくる人材育成

松井:ジェックでは、新入社員から幹部まで、継続的な研修を通じて行動変容を支援してきました。ただ、人手不足の中では、以前のように何度も研修に参加することが難しい企業も増えています。そこでAIを活用し、より現場に根づくトレーニングやコンサルティングができないかと考えています。

「With AI」でより良い人材育成

橘 :ここでも人とAIの組み合わせが重要です。たとえばパーソナルトレーニングでは、人による指導の頻度を下げ、その間をアプリやAIで補う形が広がっています。人材育成も同じで、人による研修の間をAIロープレでつなぐことで、継続的に練習できます。

松井:たとえば管理職研修で、部下との面談を学んだとします。現場では本番の面談を月1回しかできなくても、その間にAIロープレを4回行い、フィードバックを受けて改善する。そして次の研修で実践結果を振り返る。これなら学習密度を高められます。

橘 :理想的な使い方だと思います。AIだけ、人だけと極端に分けるのではなく、それぞれの強みを生かして設計することが重要です。

松井:AIロープレでは、自分の発言が文字で残り、フィードバックも得られるので、自分の言葉遣いや考え方の癖にも気づけます。ハラスメントへの配慮や心理的安全性の高い1on1など、現場で試しにくいテーマにも有効ですね。

橘 :実際の部下には言いにくい厳しいフィードバックも、AI相手なら試せます。若手マネージャーは「嫌われたくない」と踏み込みが浅くなることがありますが、AIから「ここまで伝えても大丈夫」「この伝え方は改善した方がいい」とフィードバックを受けることで、適切な距離感を学べます。

松井:さらに、頻度の低いクレーム対応など、イレギュラーな場面の練習にも使えそうです。

橘 :その通りです。大企業では例外対応まで含めるとマニュアルが膨大になります。読むだけでは身につきにくい内容も、AIで実際に体験しておけば、有事の際に動きやすくなる。避難訓練のように、起こり得る状況を定期的に疑似体験することができます。

松井:マニュアルやeラーニングで知識を入れるだけでなく、実践形式で体感する。AIによって、人材育成の方法そのものが変わっていきそうです。



変革を進める組織が始めていること

橘 :海外ではAIロープレはすでに教育の中に根づき始めています。日本でも、人の研修とAIを組み合わせる取り組みは、これから急速に広がっていくと思います。

松井:研修やコンサルティングにAIプロダクトを組み込み、総合的に提供する企業は、まだ多くないのでしょうか。

橘 :まだ少ないと思います。PeopleXはAIの会社なので、人による研修の設計までは単独では十分に提案できません。ジェックさんが長年培ってきた行動変革や組織理論と、AIの知見を組み合わせることで、新しい支援の形がつくれると思います。

松井:今はまだ「それが本当にスタンダードになるのか」という反応もありますが、近い将来、こうした形が当たり前になっていくと見ていますか。

橘 :海外ではすでにスタンダードになりつつあります。日本でも、まずは研修にAIを取り入れるなど、身近なところから試すことが大切です。人の支援とAIの継続性を組み合わせれば、組織変革をより実践につなげられます。

松井:ジェックでは、現状分析から実践、振り返りまで、さまざまな場面でAIを活用する「With AI」の取り組みを進めています。私たちが得意とする行動理論の改革、マインドの変化、組織文化の変革にAIを組み合わせ、PeopleXさんとともに新しいコンサルティングを提供していきたいと思います。

橘 :ジェックさんが培ってきた行動変革や組織理論に、これだけAIを積極的に組み合わせている例はまだ多くありません。ぜひ多くの企業に体験していただきたいですね。

松井:本日はありがとうございました。今後もPeopleXとジェックで、新しい組織変革、人材開発のあり方を追求していきたいと思います。

橘 :ありがとうございました。



この対談は、2026年1月27日(火)にジェックより配信した対談内容を文字起こしし要約したものです。

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